"Rinko" 専用バイク
輪行とは英語で何と言うんだろう。考えてみると、日本独自のような気がする。海外では自転車のその姿のままで公共交通機関に持ち込まれていたり、バスであれば車両前方にラックがあったりする。そんなわけで、恐らく "RINKO" なのだろう。
SPECIALIZED ALLEZ SPRINT 2024
カーボンフレーム全盛の現在に、あえてアルミフレーム。長距離ライドにおいて、最も懸念するのは破損とメカトラブル、そしてパンク。
僅か数十キロであれば、たとえばディレーラーエンドが曲がり、変速不調でも我慢できる。それが数百キロとなれば延々ストレスに晒される。人力ですからね。フィジカルのみではなく、メンタルも大事。できる限りストレスのもとになるものは排除しておきたい。そうして組み上げられたのが、このバイク。
メインストリームから外れて久しいアルミというマテリアル。単純に現在リリースされているアルミフレームの乗り味を知りたいのも、組み上げた大きな理由の1つ。そう、単なる「手遊び」。
フレームが破断するような落車を起こせば、カーボンでもアルミでも変わりはない。ただ、非鉄とはいえ金属。お守りのような、そんな意味合い。このフレームは、カーボンフレームであるTarmac SL7と形状もディメンションもよく似ている。ケーブル類だって内装、エアロを意識している。15年はアルミフレームのバイクに乗っていない。ハイドロフォーミングなどを用いられた最新のフレーム。組み上がる前から、いや、パーツのチョイスをしている時点から、その乗り味が楽しみで仕方がない。
バイクの構成上のポイント。
軽量化を念頭に置いたパーツチョイス
アルミを選択する時点で重量は嵩む。フレームで増えた分をパーツで補う。ワイヤー引きのディスクブレーキ
制動力を考えればディスクブレーキに軍配が上がる。油圧でなくワイヤー引きを選択した理由は、軽量化と輪行時にパッドの間にスペーサーを挟まなくてよいこと、メンテナンスに気を使わなくてよいこと。超軽量クランクセット
クランクそのものとチェーンリングもカーボン製であり、セットで500g台の軽量なものをチョイス適材適所
STIレバーやフロントディレーラー・リヤディレーラーなどはシマノのアルテグラをチョイス。最上位のデュラエースとさほど重量差がないため。ただし、重量の嵩むカセットはデュラエースをチョイス。最重量物を、ともかく軽く
軽量ホイール(DRIVE 40D)をチョイス空力重視と利便性
ハンドルバーはワイヤー類が内装されるフレームのため、Tarmac SL7用のステムとハンドルバーをチョイス。新しいモデルであればステムとハンドルが一体となり、アクセサリ類が共締めできないので、あえてのチョイス。
重量は最終的に7kg中盤に収まり、乗り味は数十キロレベルであると「カーボンフレームとは?」と誰かに問いたくなる。乗り心地などの良さはホイールやタイヤ(チューブレスorチューブド、タイヤ幅、エア圧)が支配的であったりするため、フレームのマテリアルの違いはさほど影響しないのかもしれない。ただ、大変感銘を受けたのは反応の良さ。ハワイでの処女航海の前に、箱根でのヒルクライムに用いた。反応が良いが故に、登りのリズムが大変取りやすい。平坦ではどうだろう。やはり、その反応の良さで乗っていて大変楽しい。考えてみれば、日本国内における横断系ロングライドでは、その大半がストップ&ゴー。ならば、踏み出し加速の気持ちよさが、ライド全体の楽しさに直結する気がする。荷物を背負って、現れる峠道を登る。登りでリズムが取りやすいというのは、心折れそうな時に力を貸してくれまいか。数百キロのロングライドに出かけてみたい、そう思わされるファーストインプレッションだった。