ファインダーを通して見る、ポルシェ911という車

 Porsche 911S
 Porsche 911 Carrera (997)

ポルシェ911ほど、姿形が殆ど変わらずに現代まで生きながらえたスポーツカーも珍しいと思います。上のカットは901型、ホイールベースが伸びる前のモデル。下は、997型です。

このモデルについてのメカ的な話は、素晴らしい解説がなされたものがたくさんあるためここで触れることもありませんが、2台の911を単純にフォルムだけで見比べてみると、初代で一旦完結したモデルなのかなと感じます。

まったくの持論ですが、歴代911は以下のように区分けられるように感じます。

  1. 901型-993型

  2. 996型-997型

  3. 991型-992型

とても大雑把な区分けですが、おおよそフリークの皆さんのコンセンサスはこのあたりだと想像します。993型までは空冷、996型から997型は空冷の影を引きずりつつの水冷化、991型から完全に新世代という印象です。これは単純にファインダーを覗いて、その形態を見ても感じることです。そんな意味では、911は長い歴史の中である意味2つに区分けられるのかなと感じます。

  1. 901型から997型まで

  2. 991型から992型まで

とても乱暴な話かもしれません。しかしレンズを通して見える姿は、そんな区分けに感じるのです。

これまでの変遷を振り返ってみれば、ポルシェは911を実に慎重に変えてきたと思われます。たとえば996型。登場時はあれだけガラっと変わった印象を受けながら、いまあらためて見つめてみると実にクラシカルに感じます。大きく変わって感じたのはヘッドライトの形状などですが、フロントウインドウはかなりスラント、フェンダーの峰も随分高さが下がりました。997型で往年の丸目に戻りましたが、形状自体はかなりの楕円であったりします。いま思えば、996型・997型の2世代を挟んだからこそ、991型で大胆にホイールベースを伸ばすことに成功したと思います。何に成功したか。それはユーザーからの反発を抑え込むことに。

ホイールベースの延長とトレッドの拡大は、増大するパワーに対応し、RRならではのクセを消し込むのに必要だったのかなと感じます。結果的に991型は、901型以来に均整が取れたプロポーションになったと感じます。モデルチェンジ事に薄まっていったとは思いますが、結局の所911という車は901型の影にずっと引きずられてきた車なのだろうなと感じます。それだけ世界中で愛されてきた車という証拠であり、901型のインパクトが大きかったのだと思います。

ポルシェ911という車を見ていると、カメラのライカM3を思い浮かべます。二重像合致式のいわゆるレンジファインダーカメラですが、ピント合わせの仕組みは測量の仕組みと似たようなものです。発売当時、あまりの完成度の高さから他メーカーはレンジファインダーカメラを諦め、結果的に一眼レフの開発にリソースを集約しました。ライカ社といえば、あまりに素晴らしいライカM3というモデルの亡霊に悩まされることになります。世の主流はとっくに一眼レフですが、ライカ社にユーザーが求めるのは「M3的なもの」。ポルシェもライカも同じドイツの会社ですから、そこに思いを馳せるとなかなか面白いものです。ポルシェ911は、あまりに愛されてきたが故に今も変わらず存在しています。しかしポルシェ社を長年苦しめてきたモデルであるかもしれません。

ファインダーを覗いて911という車を見ると、やはり901型の姿に心惹かれます。そして、持論の中の第一期911の完成形とでもいうべき997型に惹かれます。997型はどこか抜けきれない野暮ったさも同居します。そんな姿に愛着を感じるのです。